人生を上向きにする力
「ウェザーヘルム(Weather helm)」とは、ヨット(帆船)が帆を張って風をうけたとき、舵をまっすぐにしていても風上方向に旋回してしまう現象、およびその力のことを意味します。真っ直ぐ進みたくても勝手に曲がっていってしまう”クセ”のようなものです。
※「ウェザー」は日本語で「天候」ですが、ヨットの世界では「風上」を示す言葉としても使います。「ヘルム」は「舵、操舵、舵角」のことです。つまり「ウェザーヘルム」=「風上(に曲がる)舵」となります。
ヨットは風向に対し45度程度の角度まで、風上方向に帆走することができますが、特に風上方向に帆走する際にウェザーヘルムがあることでより力強い推進力が得られるため、あえてウェザーヘルムが発生するよう設計されています。
また、ウェザーヘルムは帆に風を強く受けるほど強く発生しますが、強風のなかで操船のタイミングを誤ると、突風を受けた際に船が急旋回して舵の制御ができなくなり、船を横転させることもあります。

つまり、時に大きな障害となりえるものでもあり、一方で、向かい風の中を力強く前に進むために不可欠なものでもあるわけです。
私(弊社代表)は学生の頃から趣味でヨットレースチームに所属して活動を行っていますが、初心者のころ、先輩から経験のためと勧められて、舵を持たされたことがあります。
風が強い日だったのですが、船が勝手にどんどん風上方向に曲がろうとするので逆方向に舵を操作するのですが、全く風下に曲がってくれません。
船もどんどん傾いていくのでこちらは転覆の恐怖でパニックになるのですが、先輩達は面白がって笑っていて余計にパニックになったのを覚えています。
これは先輩のちょっとしたイタズラで、帆を調整するロープを目いっぱい引き込んでウェザーヘルムを過剰に発生させていたことによります。
先輩が笑いながらロープを緩めてくれると、船の傾きは収まり、舵も利くようになりました。
私は思っていたようにコントロールできず勝手にパニックになっていましたが、それは船の性質と操船の仕組みをわかっていなかったからだったのです。
(当然先輩はどこからが本当に危険かをわかってやっていますし、おかげで、良い経験をさせて頂けました)
子どもの発達障害についても、こちら(大人)が望んだ振る舞いをしてくれず困惑をすることが多々あるかと思います。
ですが、人にはみんな違った個性、性質があり、心のメカニズムも異なります。そういった性質と行動の仕組みを理解し、生きていく戦略を持つことができれば、それは人生を力強く生きていく力にもなり、人生を上向きにさせるのではないかと思います。
「ウェザーヘルム(Weather helm)」という社名にはそういった
”障害かもしれないけれど、より力強く生きる力にもなるもの”
という思いが込められています。